VOICEお客様の声
太鼓の力を、社会の力に。
理念の共鳴と20年の歩み。
鼓童(株式会社北前船・公益財団法人鼓童文化財団)
佐渡島を拠点に活動する太鼓芸能集団「鼓童」。当事務所は、そのグループである株式会社北前船と公益財団法人鼓童文化財団の経理業務をサポートしています。また現在では、当事務所の五十嵐實は鼓童文化財団の理事長も務めるなど、深い関係性を構築してきました。
洲﨑 拓郎 様
五十嵐 實
きっかけは、船の中
五十嵐
鼓童とのお付き合いは、かれこれ約20年になりますね。トキの野生復帰に関する新潟県の委員をしていた際に、北前船の佐藤取締役も同じ委員会に参加していました。佐渡で開催された学会で発表をしたのですが、その帰りのフェリーで声をかけていただいたのがきっかけでしたね。当時の顧問税理士の先生がご高齢だったこともあり、後任をお願いしたいとお話をいただきました。
最初は北前船の経理制度を整えるところから着手し、形になってきたところで鼓童文化財団の副理事長のお話をいただきました(現在は理事長)。15〜16年前でしょうか。二つ返事で承諾し、そこから財団の経理にも関わるようになりました。鼓童は株式会社と公益財団法人という異なる法人が関連しているため経理業務が特殊な上に、海外取引もあるため為替なども関連してきます。複雑になりがちな経理業務を整理しながら、サポートやアドバイスを続けてきました。
洲﨑
五十嵐さんが鼓童に関わるようになった当時は、私はまだ経営者ではなく音響の仕事をしていました。最初に印象的だったのが全体会議での出来事です。
稽古場にメンバーやスタッフが車座になって情報共有などをするのですが、その場で五十嵐さんがマインドフルネスのワークショップをやったんです。アーモンドを口に含み、すぐに噛んでしまうのではなく、形・味・硬さ・大きさなどを口の中で確かめてみるというものでした。
数年後に経営に関わるようになり、胃が痛くなるような経験が増えてくると、かつてのアーモンドの話が効いてくるんです。悩みがあったり、しんどかったりしても、アーモンドを口の中で転がすように客観的に見てみる。その考え方が非常に役に立っています。
経理顧問にとどまらない関係
五十嵐
企業経営において、メンタルは重要ですね。経営者のメンタルが厳しいと、会社全体に影響が出てきます。ありのままに感じて、ありのままに見る。そこに価値判断は入れない。アーモンドはそういう意識を鍛えるためのメンタルトレーニングなんですが、確かにそんなこともやりましたね。
洲﨑
だから最初の印象は経理の先生ではなく、アーモンドの人でした(笑)。
五十嵐
いつも佐渡に来るのを楽しみにしていますし、鼓童の公演では感動を味わえますし、関わっていることに充実感があります。
私は日本自然環境専門学校の校長でもあるのですが、学生と一緒に鼓童村(佐渡南西部に位置する鼓童の拠点)の森の管理をお手伝いもしています。学生たちは、太鼓のワークショップも体験させてもらっていますね。
洲﨑
鼓童の活動は独自性が高く、お手本がないので大変ですが、面白さもあります。都会ではなく、佐渡という地方に拠点を置いて、芸事を生み出し、人を育てながら、代替わりを繰り返して続けていく。そこで培ったものを持って、世界に飛び出していくこともできる。そんな一つの可能性を実現させたい。そういう組織モデルもあるし、そういう生き方もあるということ示したい。
もっと言えば、鼓童に入らなくても、佐渡という場所に関心を持ってもらいたい。自然も豊かですし、芸能も豊かです。こういう土地で生きてみようと思う人が一人でも増えてくれたら、本当にうれしいですね。
ひとつの地球
五十嵐
私は鼓童文化財団の副理事長になったことで、いわゆる「中の人」になりました。外からの視点だけならスパッと一刀両断できるようなことも、中に入るとそうはいかなくなる場面もある。以前は正直まどろっこしさも感じましたが、さまざまな関係者の考え方を時間をかけて理解する良いきっかけになったと思っています。洲﨑
鼓童のメンバーは、放っておいても太鼓はいつまでも叩いているんですが(笑)、事業としてどう成立させるかは弱い部分がある。それは我々スタッフの役割ではあるものの、ドライになりきれない点はどうしてもあります。その難しいバランスの中で、会社の基盤となる経理の部分を、シンパシーを感じながら向き合ってくれる五十嵐さんのような方がいてくださるのは非常に安心感があります。
鼓童は、多様な文化や生き方が響き合う「ひとつの地球」という活動理念を掲げています。この「ひとつの地球」とは均質的なものではなく、色々なものが混在しているイメージです。
複数の太鼓があってもみんなが同じように叩くとアンサンブルにはならないんですね。特徴があったり、得意不得意があったり、違いがあるからこそアンサンブルになるという面白さがある。違いを活かしあって、ひとつの響きになるようなものが、色々な場面にもっと増えていくと良いですよね。
五十嵐
多様な人間が自分の力を最大限発揮して、それが活かされる社会を作る。元々自然とはそういうものですし、私もすごく共感します。
菅野 敦司 様
五十嵐 實
太鼓を中心に広がる活動
五十嵐
鼓童文化財団の副理事長になってからは、経理の仕組みを整理するだけにとどまらず、太鼓を使ったワークショップや企業研修を企画するなど、ビジネスとしての展開も構築してきました。
菅野
公益財団法人の経理は一般企業と違う部分も多いので、五十嵐さんのサポートは心強く感じています。さらに鼓童という集団は特殊な成り立ちで、トップダウンではなく、一人ひとりが創意工夫しながら作り上げてきた歴史があります。そういった意味では、活動全体に興味や理解を持ってくれることも重要ですね。
北前船は鼓童のマネジメントや興行を担う会社ですが、私たち鼓童文化財団のミッションは、太鼓の楽しさを多くの人に伝えることや、太鼓を通じて佐渡という地域を活性化させること。「エクサドン」という太鼓を使ったエクササイズを、メンタルヘルスや認知症予防に活かす取り組みも展開するなど、「太鼓の力を、社会の力に」をテーマに活動をしています。
たくさんの人々が訪れる佐渡へ
五十嵐
「社会のウェルビーイングを高める」という点は、税理士としても、専門学校の校長としても、私のテーマとしてあります。自然の豊かさや文化的な喜びを通じて、人間らしい生活を大切にしながら、持続可能なものにしていく。鼓童の活動に共感する部分です。
菅野
経営コンサルタントに特化した税理士さんだと、鼓童の実態に即したアドバイスをなかなかいただけないという課題があります。五十嵐さんは社会活動に繋がる部分も理解した上で経営をサポートしていただけるので、とてもありがたいです。
地域振興をミッションとする鼓童文化財団は、まず佐渡にしっかりと根を下ろすことが大切。鼓童村という拠点を作り、たたこう館(佐渡太鼓体験交流館)という交流施設も作った。鼓童という存在が魅力を発信して、たくさんの観光客が佐渡を訪れ、それが地域の新しい産業になる。そんな展開をさらに広げていきたいですね。